整体入門 野口晴哉

整体入門 野口晴哉
整体入門 野口晴哉 ちくま文庫

野口整体の創始者である野口晴哉先生が、初心者に向けてわかりやすく「野口整体」のポイントを解説しています。

この本を読むのは、2度目です。最初の数年前に読んだ時よりも、「なるほど」と納得しながら読むことができました。腑に落ちるというのでしょうか。再読したくなるタイプの本です。

西洋医学に慣れている方には、気というもののとらえ方など、疑問に思うかもしれません。しかし、ヨガを行っている皆様には、腑に落ちる点も多いのではないかと思います。体癖論、活元運動、愉気法、についても語っています。

<潜在している体力>
「表面に表われている体力だけが体力の全てではなく、潜在している体力も体力であることを自覚し、自発的に行為すれば、こういう力を活発に喚(よ)び起こすことができるのだ」(本より引用)
※こういう力とは、もともと自分が持っている自分で治る力

「病気になった時など、他人の知識や後援をあてにして、潜在的に持っている力を発揮しないで不平ばかり言っているようなことはおかしい。頼ることやすがることばかりを考え、他人の力をあてにしているから、自分の力が働かないのである」と耳が痛くなるような手厳しい言葉です。おっしゃるように、確かに私たちが忘れがちなことなのではないかと思うのです。

「病気になるのも、治るのも通して一つの自然の力です」とも語っています。

関連記事
風邪の効用 野口晴哉、こちらです

2012年9月11日の感想

これ1冊できちんとわかるアーユルヴェーダ 西川眞知子

これ1冊できちんとわかるアーユルヴェーダ
これ1冊できちんとわかるアーユルヴェーダ 
西川眞知子 毎日コミュニケーションズ

アーユルヴェーダを学んでいくと、自分のタイプに合うことを取り入れたくなり、
生活全般に関して、やけに細かくなってしまい、
最後には「なんだか面倒だなぁ」となってしまいがちです。

ヨガに関しては面倒と思うことはないのですが、
マッサージの時のオイルは「~オイルを使用」とか、
「~体質には、この食材を使い、風味は~。おススメではない食材は~、風味は~。」、
「この時間の飲み物は~」「頭のマッサージの順番は、まず~、次に~、それから~」など制約がたくさんあるんですもの。

この本は、気軽に取り入れることができそうです。

アーユルヴェーダとは、「生命の科学」を意味します。
ヨガとは兄弟姉妹とも呼ばれ、ヨガのティーチャートレーニングなどでも学ぶもので、古代インドから伝わる伝統医学です。この本では医学の枠にとどまらず、心と体のバランスを整える生き方の知恵が紹介されています。

私たち個人が本来持っている本質、年齢に合った生活を送ることの重要性を説いています。
アーユルヴェーダの理論では、全てのものに、地、水、火、風、空という5つの自然エネルギーが働いていると考え、これらの5つのエネルギーのうち、地と水の組み合わせが「カパ」、火と水の組み合わせが「ピッタ」、風と空の組み合わせが「ヴァータ」と3つに本質が分けられます。(年齢、季節、時間、その時の体調や気持ちの変化に応じてこの本質は少し変わってきますし、混合型もあります。)

特別なマッサージサロンに行かなくても、ご自身によるマッサージ、食事法、呼吸法、ヨガ、生活習慣、自然のエネルギーを感じ取ることなど、ご自分の中のバランスを整えることに役立つ事柄が、わかりやすく載っています。写真がきれいなのも、いいですね。
皆様も、興味ございましたら、ぜひどうぞ。

2012年8月18日の感想

東京国際ブックフェア・電子出版EXPO 東京ビッグサイト2012

第19回東京国際ブックフェア・第16回電子出版EXPO、見て来ました。

皆様は電子書籍を読まれますか?ご興味はございますか?

電子書籍に対して、今まであまり好感を抱いていませんでした。なぜかと言うと、一つはネット上で本など商品を購入すると企業に自分の趣味を把握・管理される気持ちの悪さ、二つは昔ながらのアナログな紙が好き、だからです。

特に一つ目の、企業に自分の趣味を把握・管理されて、次回からは頼んでもいないのに「これがおススメ」とか「この商品はいかがでしょうか」などと表示されたり、別の関連企業からメールでそれらしき内容が勝手に届きます。少々うっとうしい。電子書籍を読むことはなさそうな。

今回話題になっている楽天のkobo(電子書籍を読む媒体です)を手に持ってみました。あまりにも軽くて、ちょっと驚きでした。サイズが大きすぎず、小さすぎず、程よい感じです。小説を読む時の文字は自分の好みでフォントやサイズの変更ができるようですし(おそらく他の媒体もそういった調節がきくのでしょうが)、漫画もずいぶんと見やすいのですね。

本は「紙媒体で読みたい派」(そんな派があるとしたら)なのですが、日々の電車や地下鉄などで、ものすごくブ厚くて重い本を持ち歩く場合は、こういうの楽でイイなと素直に思いました。とはいえ、紙媒体の出版の地味目なブースには心ひかれます。これからも頑張ってもらいたいなぁと強く思うのでした。

他に、漫画家、イラストレーター、絵本作家、写真家などのブースが、個人個人は小さいスペースながらも、パワーを感じました。学園祭のノリで楽しそう。

こうして少しづつ私たちの意識も変わり、電子書籍が普及していくのでしょうね。

はたして今年は電子書籍元年になるのでしょうか?皆様はどう思われますか?

tokyointernationalbookfair2012の1
盛況な会場、特に賑わっているブースがこちら

tokyointernationalbookfair2012の2
寝てました。皆に触られすぎて、疲れちゃったのかも

手塚治虫作品ラベル
好きな作品をオリジナルで製本してくれるようですよ

2012年7月6日の感想

追記 
10年後の2022年現在、電子書籍はもはや一般化しています。
街の本屋は少なくなり、Amazonで本・電子書籍を購入する人も多くなりました。
スマホ、PC、iPad、Kindleで読書する日がやってくるとは。
ただ私は相変わらず、街の本屋をみて回り、紙媒体の本で読むことが好きです。2022年10月27日

百鬼夜行抄 21巻 今市子

百鬼夜行抄21
百鬼夜行抄 今市子 朝日新聞出版

漫画雑誌「ネムキ」(元々は朝日ソノラマが「眠れぬ夜の奇妙な話」という名前で創刊)に連載。週刊でも月刊でもなく隔月刊なので、コミックがなかなか発売されず、それ故、コミック発売が毎回楽しみなのです。

そんな「百鬼夜行抄」、最新刊である21巻が発売されました。

主人公の飯嶋律は、祖父譲りの霊感があります。しかし見ることができるだけで、海外ドラマや少年漫画のヒーローのように霊や魑魅魍魎を退治することはなく、霊や異界を垣間見たり、そんな存在と心を通わせたりする物語です。干渉しすぎると事件に巻き込まれるので要注意なのですが、干渉しなくても成り行き、事件に巻き込まれることもしばしば・・・。ホラーといえばホラーなのしょうが、家族ドラマでもあり、ミステリーでもあります。

飯嶋律の祖父の飯嶋伶は、蝸牛というペンネームで怪奇幻想を題材にする小説を書いていました。この祖父がとても魅力的なキャラクターなのですよね。幸薄そうな(実際に幸薄い幼少期を過ごしました)細身、眼鏡、着物。これらにピンときたら、ぜひ。

こんなに大好きな作品ですが、夜中には怖くて読むことができません。
読むのは、お日様の出ている明るい時間帯ですね。
皆様も、気が向いたら、どうぞ異界へ。

文鳥様と私9

今市子さんと愛鳥たちとの日々を綴ったノンフィクションの実録漫画「文鳥様と私」は最高です。
芳文社などから出ている他の作品も、ひねりが効いて面白いですよ。

2012年7月3日の感想

追記
2022年10月現在、「百鬼夜行抄」30巻発売されています。
主人公の律はずっと大学生のままです。
どうか未完になりませんように。2022年10月26日記

華氏451度 レイ・ブラッドベリ:Ray Bradbury

訃報 レイ・ブラッドベリ:Ray Bradbury
アメリカ合衆国の小説家(SF作家、幻想文学作家、怪奇小説作家)、詩人。
2012年6月5日に91歳で死去。

学生時代に観たフランソワ・トリュフォー監督の映画作品「華氏451:Fahrenheit451」がレイ・ブラッドベリとの出会いだった気がする。

映画タイトルは「華氏451」、小説タイトルは「華氏451度」。
華氏451度とは、紙が自然発火する温度(華氏451度≒摂氏233度)とのこと。

それから、萩尾望都の漫画「ウは宇宙船のウ ブラッドベリSF傑作選」、
そしてオリジナルのレイ・ブラッドベリの作品へと辿りつきました。

「華氏451度」は、本を持つことや読書が禁じられた、未来の架空の管理社会の物語です。読書好きな人間にとって、また読書好きな人間でなくても、情報や思想が管理された世の中というのは非常に恐ろしく、そんな世の中にはなっちゃいけないと思ったものです。今も、人間の思考力、想像力、共感力、また多様な思想を絶つには、本を読まないことでしょう。受動的にテレビ(最近はネットでしょうか?)を見続け、いつしか支配されていくことへの警鐘。彼の作品は、今後も生き続けていくに違いありませんね。

ご冥福をお祈りしております。

fahrenheit451

フランソワ・ロラン・トリュフォー
François Roland Truffaut
1932年2月6日~1984年10月21日
フランスの映画監督、脚本家、俳優である。ヌーヴェルヴァーグを代表する監督の一人。

2012年6月22日の感想

音楽の在りて 萩尾望都

音楽の在りて、萩尾望都
音楽の在りて 萩尾望都著 イーストプレス

大好きな漫画家・萩尾望都先生の初の小説集です。
20代の頃「奇想天外」に掲載していたSF短編小説と中編小説。

「左ききのイザン」(「半神」に収録)のペアの作品となる「ヘルマロッド殺し」、
音楽家がとある星で遺跡発掘中に見つけたものとは・・・、
宇宙で出会った異星人と会話してみたら・・・、宇宙で難破船に遭遇し・・・、
少女時代の漫画を通じて人と繋がった話など。

「美しの神の伝え」(中編小説)

「神の存在と自我の芽生え」という作者の永遠のテーマ。
「理想的な人類を作ろう」とする過程の物語。
何かの神話を読んでいるよう。頭の中に絵が浮かんできます。

ちょうど「私を離さないで」と同じ頃に読み、
あまりにもシンクロしている部分が多くて。
20代のころから取り組んでいる望都先生の想像力に感服。

軽くて可笑しな作品、「そういうオチなのね」という作品、
神々しい重厚な作品まで、萩尾望都ワールドが広がり、楽しみ浸ることができます。
全てのストーリーが、望都先生の(自分の好きな頃の)漫画の絵として、
はっきり頭の中にイメージされるので、ちょっと普通の小説と違う、不思議な感覚。

代表作
「11人いる!」、「ポーの一族」、「トーマの心臓」、「百億の昼と千億の夜」
「メッシュ」、「銀の三角」、「モザイク・ラセン」、「マージナル」、「A-A’」、
「イグアナの娘」、「残酷な神が支配する」、「バルバラ異界」など

<関連記事>
Arco iris Yoga 2017年7月14日
萩尾望都 SFアートワークス→こちら

2011年11月2日の感想

わたしを離さないで カズオ・イシグロ

わたしを離さないで カズオ・イシグロ
わたしを離さないで
原題:Never Let Me Go
カズオ・イシグロ著(早川書房・ハヤカワepi文庫)

この作品は、「泣ける」というような単純なものではなく、
怒りがこみ上げるかというと、そういうわけでもなく、
タイトルから甘い恋愛物を想像してしまいそうですが、
SFのような、医療物のような、読む人により異なるであろう作品です。
あえてここで、ネタバレする気はありません。

こんな運命を受け入れる人生があっていいものかと。

この主人公キャシーは、激しく抗議することなく受け入れていきます。
ある意味「東洋的な人物だな」と感じました。

例えば、「こんな風に思った」けれど、周囲の人と浮いてしまうから
グレーのままにしておいて、言わないままでいる、とか。

カズオ・イシグロさんは日本で生まれた日系の英国人ですから
一般的な西洋的な考えと少し違うのかな。
また、ヨガでは「あるがままを受け入れる」という考え方がありますが
諦めたところで何か別のものが、別の視点がみつかるという考え方が
西洋も含めて広がり受け入れられているのでしょうか。

物語の中では、事細やかに彼女の過去の出来事が描かれる。
この細やかに描写された過去の彼女の記憶や経験。

ノーフォークにあるロストコーナー(遺失物取扱所)にあるかもれしないと
期待するもの、それは当然単なる品物ではなく、
それぞれが大切にとっておきたい記憶でしょう。

トミーとノーフォークの雑貨屋でカセットを探して回ったこと。
この記憶や経験は、けっして奪えないということです。

行き過ぎた医療の歪み、忘れ去られる存在であったとしても
忘れては、離してはいけないことがある。そんな風に静かに語りかけてくるから、
この物語が頭から離れなくなるのかもしれません。

2011年10月15日の感想

魂の処方箋 越智啓子 池川明

「おなかの赤ちゃんは、今どんなことを感じ、思っているのかしら」

そんな風に思ったとき、この本はいかがでしょうか。

2人のスピリチュアル・ドクターが聖地沖縄で語り合っています。お産に対する不安なことが頭をよぎるときにも、少し「ほっ」とできる、温かい気持ちになれる本ですよ。

越智啓子さんは、クリスタルヒーリング、笑い療法、過去生療法、ハンド&ヴォイスヒーリングなどを取り入れたユニークな治療を行っていらっしゃる精神科医です。
池川明さんは、「胎内記憶」(赤ちゃんはお母さんのお腹の中での記憶を持っています。また、いつも一緒にいるお母さんの気持ちをキャッチしているのです。)についての研究を行っていらっしゃる産婦人科医です。

<参考文献>
「親子を癒す子育てのヒント 子どもがあなたを選んで生まれてくる」越智 啓子
ソウルメイトだったかもしれない自分と親、自分と赤ちゃん・子ども。
関係を見直すきっかけに・・・。

2010年12月20日の感想

断捨離のすすめ&ようこそ断捨離へ 

母校にてバザーがあり、お手伝いしてきました。

毎年献品し、日頃から「断捨離(だんしゃり)」を心がけているため、
だんだん家に不用品がなくなってきました。

バザーがきっかけとなって、「断捨離(だんしゃり)」もできて、よかったです。

皆様も年末に向けて、お掃除ついでにぜひ。

断捨離(だんしゃり)とは?

家の中には、使わないモノ、どこかからもらってきたモノなど、たくさんの「ガラクタ」があります。
使わないモノを捨てて、本当に必要なモノだけに絞り込んでから、不要なモノの流入を断つ。
モノを絞り込むことでストレスを取り除き、毎日を快適に過ごすための考え方・ノウハウが「断捨離」です。

がんばって収納してあるのは、本当に必要なモノですか?片づけても片づけても、片づかない、家中にモノが溢れている、いつもなんとなくイライラする・疲れている、自覚せぬままに溜まったガラクタを捨てることで、そんな悩みを解決します。

「捨てれば、得られる」

収納より大切なモノの捨て方・片づけ方、そしてそれによって得られる暮らしや人生の変化を本書で体験してみませんか?
「断捨離」は、あなたの暮らしを豊かにする、モノと心の「デトックス」法です。
(「モノを捨てればうまくいく 断捨離のすすめ」川畑のぶこ 著 (著)、やましたひでこ (監修) 同文館出版より抜粋)

読んだ本

「モノを捨てればうまくいく 断捨離のすすめ」
川畑のぶこ 著 (著)やましたひでこ (監修)
同文館出版

「ようこそ断捨離へ モノ・コト・ヒト、そして心の片づけ術」
やましたひでこ
宝島社

2010年11月24日の感想

追記
2010年の私は「断捨離がすすんでいる」と書いておりますが、
2022年現在、また増えてきたような・・・。
五木寛之先生の「捨てない生き方」に共感する今日この頃です。2022年10月21日

コーリング 岡野玲子

コーリング 岡野玲子
コーリング 岡野玲子 白泉社

パトリシア・A・マキリップ(Patricia A. MacKillip)の「妖女サイベルの呼び声(The Forgotten Beasts of Eld)」を岡野玲子により漫画化。1990年代初め。全3巻。

岡野玲子先生、特有の繊細な美しい絵と、タペストリーのような神話が見事に合っています。

主人公の美男美女も、もちろん素敵なのですが、彼らの周りの、会話する猪、ハヤブサ、黒鳥、猫、ドラゴン、獅子などの獣たちが、またとっても魅力的なのです。

発刊されてからずいぶん時を経ていますが、そもそも物語の設定が神話とあって非常に古いものなので、
いつの時代に読んでも、逆に違和感がなく、すーっと入っていけます。古臭さはなく、新鮮です。
つい、読後の余韻にひたってしまうのでした。

<物語導入部>
4代目の魔術師のサイベルは、伝説に残る神のような動物たちと共に、人から離れた静かな環境で魔術の修行をして暮らしていた。ある日、コーレンという若者が、サイベルの甥にあたる「赤ん坊」タムローンを預けにやってきたことから物語がはじまる。彼女は、好むと好まざるとに関わらず、俗世の権力争いに巻き込まれ、「愛情」「憎しみ」「復讐」といった感情を経験していく・・・。

パトリシア・A・マキリップの原作は、1975年の第1回「世界幻想文学大賞」(ファンタジー小説に贈られる)受賞。

2009年10月15日の感想

追記
表紙の写真がボケボケです。撮り直したい気持ちでいっぱいなのですが、そのままにしておきます。2022年10月20日記