朝夕涼しくなり、過ごしやすい季節になりました。
期日押し迫り、観に行ってまいりました。
松方幸次郎は、まだ日本で美術作品を皆で楽しむ美術館のために収集するという概念がない時代、さまざまな美術品を収集し、美術館設立に尽力した人物です。
<みどころ>
2016年にパリ・ルーヴル美術館で発見され、国立西洋美術館に寄贈されたモネ「睡蓮、柳の反映」が現存部分の修復を経て、初めて公開
<みどころ2>
パリ、ロンドンなど、世界各地に散らばる松方旧蔵の名作を含む約160点が集結
モネ、ゴッホ、ゴーギャン、ルノアール、ロダンなど
バラエティーにとんだ一級品の作品群は、大変見ごたえがありました。
作品が素晴らしいというだけでなく、作品が完成し、交渉し、買い買われ、奪われ、焼失・紛失され、売却され、寄贈され、といった道をたどってきたことにも思いを馳せる今回の展示。
「今ここで絵を観ている私たちと作家」を感じることは容易です。
今回は絵の背景である、絵を売り買いする人々、絵を守ってきた人々とのつながりをも感じ、絵の持つはかりしれない力に敬服したい気持ちになりました。
<松方幸次郎>
神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)を率いた松方幸次郎(1866(慶応元年12月1日)-1950)は、第一次世界大戦による船舶需要を背景に事業を拡大しつつ、1916-1927年頃のロンドンやパリで大量の美術品を買い集めます。当時の松方のコレクションは、モネやゴーガン、ゴッホからロダンの彫刻、近代イギリス絵画、中世の板絵、タペストリーまで多様な時代・地域・ジャンルからなり、日本のために買い戻した浮世絵約8000点も加えれば1万点に及ぶ規模でした。
しかし1927年、昭和金融恐慌のあおりで造船所は経営破綻に陥り、コレクションは流転の運命をたどります。日本に到着していた作品群は売り立てられ、ヨーロッパに残されていた作品も一部はロンドンの倉庫火災で焼失、さらに他の一部は第二次世界大戦末期のパリでフランス政府に接収されました。戦後、フランスから日本へ寄贈返還された375点とともに、1959年、国立西洋美術館が誕生したとき、ようやく松方コレクションは安住の地を見出したのです。
開館60周年を記念した本展では、名高いゴッホ《アルルの寝室》や、2016年に発見されたモネの《睡蓮、柳の反映》など国内外に散逸した名品も含めた作品約160点や歴史資料とともに、時代の荒波に翻弄され続けた松方コレクションの百年に及ぶ航海の軌跡をたどります。(国立西洋美術館公式HPより)