暑いですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。
NODA・MAPの新作、「兎、波を走る」を観ました。
「不思議の国のアリス」のうさぎを追いかけるうちに、
チェーホフの「桜の園」の世界、「ピーターパン」の世界、
そして現実の不条理な世界へ。
事前に情報を仕入れないでご覧頂いた方がよいと思うので、
ここで物語のネタバレをする気はありません。
<備忘録として>
・舞台の生身の人間の表現としての面白さ。
役者たちの肉体や声。
アンサンブル、チームワークの素晴らしさ。
・アナグラムのような言葉遊びとしての面白さ。
過去に親しんだ物語をおさらいし、再び共有する面白さ。
・脚本の持つ強いメッセージ。
舞台の上だけでなく現実の世界につながり、
私達に問いかけてくる芝居でした。
そして観終わった後も、問いかけ続ける芝居です。
おそらく芝居を観た後、すっきりした気持ちにはならないだろう。
劇場を一歩出てからも、私達の毎日は続いています。
そして相変わらず、不条理は起こっています。
すっきりはしませんよねえ。
確かに解決するのが一番ではあるのですが。
すっきりしない気持ちを抱えながら、それでも毎日を過ごしていく。
芝居を観る前と観た後では、
物の見方が少し変わるのではないかと思います。
野田作品が好きな自分のような人間だけでなく、
若い十代二十代の人にも観てもらいたい作品です。
きっかけは役者目当てだって、全然OKと思います。
野田作品では、あちこちに散らばっていた物語たちが、
ある時つながり(人によってつながる時は違うかもしれないが)
「はっ!」とする。
私はこの瞬間をとても大切に感じていて、
だから事前に情報を仕入れないでいます。
それはこれからも変わらないかなあと思っています。
野田曰く、物語の設定は、「“潰れかかった遊園地”を舞台に繰り広げられる“劇中劇(ショー)”のようなもの」で、“アリス”が登場するという。果たしてそれは「兎」を追いかけて不思議の国へと迷い込んだあのアリスなのか…?その上、或る“世界的な稀代の劇作家”まがいの人間までもが2人絡んでくるらしい。
謎のベールに包まれた野田の新たな企みに、斬新な顔合わせの豪華キャストが集結。
『フェイクスピア』で堂々の主演を務めた高橋一生がおよそ2年ぶりに野田作品へ帰還。そして昨年の『Q』ワールドツアーで国内外の観客を魅了した松たか子。直近の作品に出演をした俳優を珍しく立て続けにキャスティングをしたのはこの2人で描きたい何かが野田には明確にあるのだろう。そして2010年に『農業少女』(作:野田秀樹/演出:松尾スズキ)で初舞台を踏み、今回満を持しての初登場となる多部未華子ほか、いずれ劣らぬ実力と類稀な個性に溢れたキャストが集う!
物語が進むにつれ、表層とは違う世界が姿を現し、目まぐるしく展開する野田秀樹ワールド。まるで遊園地のジェットコースターに乗り込んだような生の劇体験をこの夏、ぜひ劇場でお楽しみください!(公式HPから)
<作・演出>
野田秀樹
<出演>
高橋一生 松たか子 多部未華子
秋山菜津子 大倉孝二 大鶴佐助 山崎一 野田秀樹
秋山遊楽 石川詩織 織田圭祐 貝ヶ石奈美 上村聡 白倉裕二
代田正彦 竹本智香子 谷村実紀 間瀬奈都美 松本誠 的場祐太
水口早香 茂手木桜子 森田真和 柳生拓哉 李そじん 六川裕史