ブンミおじさんの森 Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives

ブンミおじさんの森 Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives

ブンミおじさんの森 Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives

アピチャートポン・ウィーラセータクン監督・脚本・製作のタイ映画。

この森では、どうやら過去や現在や未来の境がなくなり、生者と死者の境がなくなるようです。

病気で死を目前にしたブンミおじさん。日常ではありえない出来事が、当たり前のように起こります。

あまりネタバレしない方が良さそうな作品なので、多くを語るのを控えますが、見終わって「?」で頭がいっぱいになりました。観る人それぞれに、テーマやメッセージを違って受け取ることができる、深読みしだすときりがない、いやそれとも、そこまで考えなくていいのだろうか?

人の手の及ばない森という自然。また、人が生きることや人が死ぬことといった自然の摂理。そんな自然や自然の摂理の中では、人はとてもか弱い存在です。人の手の加わっていない森、人よりも長く存在し続けている、やけに湿度の高そうな森の見事さ。観た人それぞれの解釈や感想を聞いてみたい作品です。ご覧になったら、教えてくださいね。

夏を都会である東京で過ごしている私にとって(たまには「ブンミおじさんの森」のような自然の中で過ごしたいものです。そういう意味では、タイの森にいるような感覚を味わえる癒しの映画かも)、「仏教が熱心に信仰されているタイでは、こんなこともあるかもしれないな」「死んだら・・・」なんて、夢なのか現実なのか、前世なのか現世なのか境目が不確かなまま、蒸し暑い中、漂うような時間を過ごしました。

「筋書き」とか、「結末」とか、この作品の中では、あまり重要じゃないのかもしれません。全体的に画面が暗いので眠くなるかもしれませんが、決してつまらない作品でも、退屈な作品でもありません。

森の中をゆらゆらと漂いたくなったら、どうぞ。

<ブンミおじさんの森 Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives>
監督&脚本&製作:アピチャートポン・ウィーラセータクン
製作:サイモン・フィールド
   :キース・グリフィス
   :シャルル・ド・モー

第63回カンヌ国際映画祭で、タイ映画史上初めてパルム・ドールを受賞。この時の審査委員長はティム・バートン監督。つまり彼の好みということです。ティム・バートン作品は、常に結末が用意されていますが(普通の映画作品では当たり前のことですけども)、「こういった味わいの作品も好きだったのだなぁ」と思いました。

2012年8月22日の感想

追記
名前の日本語発音表記は、アピチャッポン・ウィーラセタクンが最も近いようです。愛称は、ジョーさんです。

2020年、多摩美術大学特任教授。日本ともご縁ある映画監督です。
2021年、「MEMORIA メモリア」(ティルダ・スウィントン主演)が第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、審査員賞を受賞。

まさか「ブンミおじさんの森」を観た8年後の2020年、タイのドラマにはハマり、浴びるようにタイ語を聞くことになるとは思ってもいませんでした。何が起こるかわからないものですね。2022年11月27日記