風邪の効用 野口晴哉

風邪の効用 野口晴哉
風邪の効用 野口晴哉 ちくま文庫

皆様、「風邪」に対してどのように考えていますか。
今まで一度も風邪を引いたことのない方は、おそらくいないかと思います。

数年前に手にとってから、何度も読んでいるのですが、
読む度に、「はっ」と気付かせてくれる本です。
特に、風邪を引いた時や風邪を引いた後は、身をもって理解できます。

子どもの頃から20代半ばくらいまで、しょっちゅう風邪を引いていました。
ヨガをはじめてからは、そんなに頻繁には引かなくなりましたが。

この本を読む前までは、「できる限り、引かないようにしよう」と心がけてきました。
しかし、野口先生のお話から、「引いても大丈夫」と思うようになりました。
下記の抜粋は、今回、胸に「ズキューン」ときたところです。

<心理現象としての風邪>
「寒いので風邪を引くという考え方が入っている人は寒いと風邪を引くが、ストーブで暖まると風邪を引くと思い込んでいる人はストーブで風邪を引く。風邪を引くことの中には、そういう心理的な分子が非常に多いということが判りました。」(本より抜粋)

<「・・・と思い込む」とそうなる>
「「・・・と思い込んで」そうなったという心理的なものが多いということです。ただ、「・・・と思い込んで」も風邪を引かない人はたくさんいます。それは何故かというと、「・・・と思い込む」ことは意識的なのです。意識で「・・・と思い込んで」いる時は風邪を引くという状態にならない。心の奥の深層心理とか潜在意識とかいうような潜在している心に、風邪を引くという考え方が入ると、風邪の現象が起こる。」(本より抜粋)

この本は、風邪は心理的な部分が多く占めていること、お風呂の入り方、
体の部分的な温め方、風邪を引いているうちは風邪を引ける体なのだということなど、
上手に風邪を経過させることの大切さが説かれています。

もちろん肉体的な疲労や精神的な疲労(頭の使いすぎ)によって、風邪を引くことも多いものです。
ただ、今まで生きてきた中で、一般的に考えられてきた、刷り込まれてきた風邪への認識、また風邪の治療法が、もしかすると「・・・と思い込んで」いる部分が、かなりあるのではないでしょうか。私の場合はありました。

風邪を重く受け止めすぎず、また軽く受け止めることもしないで、経過を見守って、
風邪によってますます心身ともに元気でいきたいものですね。

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2013年1月5日の感想

野口整体 病むことは力 金井省蒼

野口整体 病むことは力 金井省蒼
野口整体 病むことは力 金井省蒼 春秋社

「病気とは、心の苦しさを、病気を通じて出しているということなのです。病気をして弱ったとはみていないのです。病気も健康法のうちだ。野口先生は「病気になるのも、治るのも通して一つの自然の力です」と言っている。」(本より引用)

金井省蒼さんという、野口晴哉先生のお弟子さんの整体師の方が書いた本です。

様々なタイプの整体師さんが世の中にはいらっしゃるものですが、全面的に心をオープンにできる整体師さんは、受ける側からすると非常にありがたい存在ですね。対話を大切にしていらっしゃるからでしょうか。

おっしゃっている事がヨガと通じることが多くあり、ストンと腑に落ち、時に自分を振りかえり反省も。

自分自身の心と体を観察していく。そして、気付くことで人は治る方へと自然と向っていく。それには無心で行うこと。(無心とは、する側もされる側も、「良くしよう」とか「治そう」という思いをなくすこと。)これはまさにヨガの考え方と同じと言えます。

教室で体調を崩されている方に対して、「良くなって欲しい」と一方的に思ってしまいがちです。(私だけかもしれませんが)「良くしよう」と思った時点で、それは無心かどうかというと、やはり無心ではなくて・・・。難しいことではありますが、その方自身の本来持っている力を信じて、無心でヨガを伝え行い、結果としてその方自身が良くなっていくことを願っています。

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2012年9月21日の感想

整体入門 野口晴哉

整体入門 野口晴哉
整体入門 野口晴哉 ちくま文庫

野口整体の創始者である野口晴哉先生が、初心者に向けてわかりやすく「野口整体」のポイントを解説しています。

この本を読むのは、2度目です。最初の数年前に読んだ時よりも、「なるほど」と納得しながら読むことができました。腑に落ちるというのでしょうか。再読したくなるタイプの本です。

西洋医学に慣れている方には、気というもののとらえ方など、疑問に思うかもしれません。しかし、ヨガを行っている皆様には、腑に落ちる点も多いのではないかと思います。体癖論、活元運動、愉気法、についても語っています。

<潜在している体力>
「表面に表われている体力だけが体力の全てではなく、潜在している体力も体力であることを自覚し、自発的に行為すれば、こういう力を活発に喚(よ)び起こすことができるのだ」(本より引用)
※こういう力とは、もともと自分が持っている自分で治る力

「病気になった時など、他人の知識や後援をあてにして、潜在的に持っている力を発揮しないで不平ばかり言っているようなことはおかしい。頼ることやすがることばかりを考え、他人の力をあてにしているから、自分の力が働かないのである」と耳が痛くなるような手厳しい言葉です。おっしゃるように、確かに私たちが忘れがちなことなのではないかと思うのです。

「病気になるのも、治るのも通して一つの自然の力です」とも語っています。

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2012年9月11日の感想